研究
住民主体型閉じこもり予防事業のボランティアが活動を通じて得ているもの
保田 玲子
1
,
工藤 禎子
1
,
桑原 ゆみ
1
,
三国 久美
1
,
森田 智子
1
,
深山 智代
1
1北海道医療大学看護福祉学部地域保健看護学講座
pp.376-383
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100485
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■要旨
地域の健康づくりで,専門家と住民のパートナーシップが重視されており,その効果として,個人や地域がエンパワーされると考えられている。近年では,保健師が住民の主体的な参加を得て展開している保健福祉事業も多くみられているが,その事業を継続していくためには,住民が活動をどのようにとらえているかを知ることが重要であると考える。
本研究は,住民主体型の閉じこもり予防事業に参加しているボランティアが,活動を通じて得ているものを明らかにすることを目的としており,ボランティア30人を対象にフォーカスグループインタビューを行った。分析の結果,【交流の広がり,深まりによって得ているもの】として,<高齢者理解の深まり><知見の広がり><仲間意識><積極的な日常生活をおくる姿勢><自分にとって価値のある場><地域への愛着>の6カテゴリーと,【主体的な参加によって得ているもの】として<住民主体の活動に対する不安感,負担感,責任感><ボランティアとしての協働の学び><やりがい・自信><閉じこもり予防教室の効果,意義の実感><閉じこもり予防への視点の広がり><閉じこもり予防が住民全体の目標でもあることの気づき>の6カテゴリーの計12カテゴリーが抽出された。このカテゴリーは相互に影響しあい,密接に関連していることが推測される。ボランティアは住民主体の活動に不安感や負担感を得ている場合もあり,活動に関わるボランティアに対する,専門職による支援の必要性が示唆されたと考える。
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