厚生行政を読む
民主主義
厚生行政研究会
pp.986-987
発行日 1989年9月1日
Published Date 1989/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209692
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はじめに
先の参議院議員選挙では,民意の変化が政治勢力を大きく変える結果となった.わが国は民主主義国家である.選挙に限らずあらゆる分野において,民主主義的精神は意志決定に強く関与している.厚生行政も,一握りの官僚や政治家によって恣意的に施策が決められているのではなく,基本的には「民の声」に応じた意志決定がなされている.民意を捉えそこなえば,必ず物事は失敗する.これは政治や行政に限らず,民主主義国家においては,あらゆる事業体についていえる共通原則なのである.
ところで,医療機関については,この民主主義的精神が運営方針に取り込まれているのであろうか.「患者の権利」などといった言葉が叫ばれるようになってきたのはつい最近のことであり,それすらも,ごく一部の者の声として冷やかな反応しか返ってこない現状である.どうやら,医療機関における民主主義の歴史は,これからという段階にあるようである.
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