特集 気になる「閉じこもり」とは—改めて「老い」を考える
「閉じこもり」高齢者の実態
藺牟田 洋美
1
,
安村 誠司
1
,
阿部 ひろみ
1
,
深尾 彰
1
,
山田 孝子
2
,
阿彦 忠之
2
,
鈴木 みどり
3
,
佐藤 久枝
3
,
土屋 寿子
4
,
金川 克子
5
1山形大学医学部公衆衛生学講座
2山形県村山保健所
3山形市健康福祉部高齢福祉課
4山形県村山市保健課
5東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻・地域看護学分野
pp.17-21
発行日 2000年1月10日
Published Date 2000/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902123
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はじめに
1999年5月,高齢者保健事業在り方専門委員会より提出された第4次老人保健事業計画に対する意見書において,要介護状態の予防には,脳卒中などの疾病予防とあわせて,「閉じこもり」予防の重要性が指摘されている1)。地域保健活動における「閉じこもり」高齢者の支援の重要性がにわかに高まっている。なぜなら,わが国の高齢者は外出よりも,テレビなどの家庭中心の余暇活動を好み,家に閉じこもる傾向にある高齢者のライフスタイルは不活発な生活を招き,生理的老化である心身の活動性の低下をさらに助長し廃用症候群へと導く。そして,最終的に寝たきり・痴呆になるリスクが高いからである2,3)。そのことによって,近い将来医療費を圧迫する可能性もあり大きな問題となってきている。
だが,「閉じこもり」高齢者とはどういう人をさすのかはいまだコンセンサスはない。訪問看護や地域保健活動に携わっている人たちなど保健・医療の専門家ばかりでなく,一般の人も,「閉じこもり」高齢者は「家に閉じこもっている」状態の高齢者という点では一致しているであろうが,その子細は,関わる個人の主観によるところが大きい。
そこで,本論ではこれまでの「閉じこもり」に関する諸外国およびわが国の研究におけるいくつかの知見を整理し,さらに,私たちが実施している山形における「閉じこもり」高齢者の実態調査の結果を紹介する。
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