連載 ルポ フランスの家族 3
離婚と親権・養育権
児玉 しおり
pp.748-751
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100311
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離婚しても両親で子育て
メゾソプラノ歌手で作曲・プロデュースもする40代後半のトリシャさんは17年前に結婚,7年後,子ども2人がそれぞれ2歳,6か月のときに仕事で地方都市に行くことになり,別居しはじめた。3年間の別居生活後パリに戻り,正式に財産分離をし,それぞれ近所にアパートを購入。離婚手続きは元夫が再婚することになった2年前にした。まったく争いのないスピード離婚で,子どもは1人ずつの養育権をもつことにした。ただし,それは紙の上のことだけで,現在は11歳と9歳の兄弟はいつも一緒に生活し,週の半々を父と母の家で過ごす。日曜日の夜から水曜日までがトリシャさん,木~土曜日が父親の家。学校の長期休暇はおよそ半々だ。
「上の子は物心つく頃にちょうど別居しはじめたから,トラウマを抱えている。罪悪感を感じるけれど,離婚ばかりが子どもに悪影響を与えるわけではない。喧嘩ばかりする夫婦でいるよりは,離婚したほうがいい場合もある」と,トリシャさんはいう。
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