私たちの法律第8回
親権と後見および扶養
遠藤 順子
pp.42-46
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204267
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子をはぐくむことは権利であると同時に義務である
<設例 18>
A子さんは先夫のB氏と離婚したとき,Cちゃんを引き取ったが,Cちゃんが新しい夫のD氏になつこうとしないのでうとましくなり,毎日D氏と一緒にCちゃんを折檻していた。そのうち,A子さんとD氏の間にもEちゃんが生まれ,ますますCちゃんは親の愛情から遠ざけられた。やがてCちゃんの性格は乱暴になって,学校で友だちに大怪我をさせ,いま教護院に入れられている。
なんともやりきれないような設例ですが,この種の事案はたいへん多いのです。犯罪を犯した少年の家庭環境を調べると,多くの場合親の愛情不足,あるいは心得違いにぶつかります。子供は毎日毎日親とともに生活せざるをえないわけですから,親の思想・生活環境にどれほど影響されるかはかりしれません。それだけに,親としての権利と義務,すなわち「親権」の意味を十分認識してほしいと願わずにはおれないのです。
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