連載 意思決定の統計学・8
統計学を学ぶ意義
松原 望
1
1上智大学外国語学部国際関係副専攻(社会統計学)
pp.178-181
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100116
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好み,移り気の議論 対 統計学で論理展開
釣りから帰って来た人が「こんな大きな魚を逃してしまいました」と言って,身振り手振りで自慢話をすることがある。「こんな大きなとはどれくらい大きかったのですか?」「いえ…,逃がしてしまったものですからわかりません」「?」。
個人の趣味のことだからこれですむが,これが人々の生命や健康に(たとえば病院や保健所で),あるいは広く国家や社会に(たとえば国会や市議会で)関係ある事項であったら,このように感覚に訴えるだけの議論だけではとてもすまないどころか,顰(ひん)蹙(しゅく)ものであろう。実際,病院やクリニックへ異常を訴えに何度も行くのに,一度も血圧や体温,脈拍のバイタルサインも取らずに問診だけで診断されたら,患者は大きな怒りや不満を覚えるに違いない。
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