人とことば
衛生学の意義
吉岡 博人
1
1東京女子医科大学
pp.641
発行日 1970年11月15日
Published Date 1970/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204160
- 有料閲覧
- 文献概要
昭和43年3月に衛生学教授を定年退職したので,衛生学の第一線からはなれてすでに2年以上経過しておる.その間,理事長・学長の雑務に専念したので,私の述べようとすることは,もはや時代錯誤で,諸者諸賢のご参考にならないことを恐れるが,こわれるままに拙文を書くことともる.
従来の経験的俗説を排して,衛生という事象を科学的に「衛生学」という学問にまで樹立したのは,ご承知のようにペッテンコーヘルにほかならない.そのときの彼の考え方は,ある意味で「平均的人間」を考えて,その人の理想的環境がどんなものであるかを追究しようとしたのである.いいかえると,「平均人」の自然環境の理想像がどんなものであるかを研究しようとしたわけである.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.