教育思潮
看護学研究の意義
山崎 昌甫
1
1和光大学人文学部・人間関係学科
pp.519-524
発行日 1976年8月25日
Published Date 1976/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907018
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.看護技術の検討
看護技術の本質は,病院・診療所に代表される看護現場ないし医療現場における看護過程・医療過程のなかに,はじめて,見いだすことができる.保助看法の表現にしたがえば,‘傷病者若しくばじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助’という看護行為,看護労働のなかに,看護技術は存在する.このような看護行為は,それだけが独立して機能しうるものではなく,医療過程を形成する広い意味の医療行為の一構成部分として,一過程として展開するものなのである.そしてこのような医療過程は,典型的には病院に見られるように,一定の組織・機構をもった医療機関が行う一連の目的意識的・計画的な行為なのであって,この組織・機構から切り離しては存在しえない,ところで,ここで一定の組織・機構というのは,特定の部門には一定の人的・物的組織があり,しかもそれぞれの部門ごとにはもちろん,全部門を1つの構成体として統轄・管理するメカニズムがあるということである.この点は,すでにとりあげた‘看護制度に関する意見要旨’でも,看護概念を明確にするに当たって第一の問題点として‘医師と看護婦との業務の限界’をあげ,それの判断は,‘最終的には,法律解釈にまつべきものであるが,具体的には近代的な管理(Administration)の問題にさかのぼるべきであろう’としている.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.