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はじめに
2021年5月20日のNHKのテレビ番組「クローズアップ現代+」では、コロナ禍の新人看護師が描かれていました。コロナウイルス感染症のために実習を十分受けられずに現場に行くことになり、自信をもてない。コロナ病棟に配属され、通常よりも短い時間で看護しなければならず、「業務しかできてない。看護できてない」と嘆く人も。それでも新人看護師たちは、患者の思いと向き合ったり、先輩看護師の気づきから学んだりして、できることを前向きに探ろうとしていました。
今後、どのような新たな困難が待ち受けていたとしても、学生が人と人との看護をできるように成長していくためには、看護の知識や技術だけではなく、患者や状況に応じて知識や技術を臨機応変に統合する実践能力も身につけることが必要です。では、実践能力をいかに評価し、指導や学習の改善へとつなげていけばよいのでしょうか。
学校教育に関して、中央教育審議会の2016年12月21日の答申では、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」という資質・能力をバランスよく評価するために、パフォーマンス評価を取り入れることが推奨されています。看護教育の分野でも、たとえば2018年の看護基礎教育検討会の議論で、実践能力をとらえるパフォーマンス評価に言及されています。ただ、パフォーマンス評価をめぐっては、ルーブリックに関する誤解がみられたり、評価の厳密さを追究するあまりに教員・指導者や学生の成長に十分つながっていなかったりすることもあります。
そこで本稿では、教員・指導者と学生がともに成長する評価という観点から、ルーブリックを用いる意義とその活用のポイントを説明します。パフォーマンス評価が必要な背景、パフォーマンス評価とルーブリックの意味、ルーブリックの種類と作成のポイント、ルーブリックのメリットと限界、ルーブリックにまつわるQ&A、ルーブリック活用の留意点について順に述べていきます。
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