看護人間学のための論理療法入門・9
理論編のまとめとアドバイス
伊藤 順康
1
1東京理科大学
pp.304-307
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908512
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論理療法のまとめ
論理療法はひとくちに言えば,神経症的な行動は考え方が非論理的な人間のすることであるということから出発するものであった.非論理的とはどういうことか.それは「事実に基づかない考え方」および「論理的必然性を欠いた考え方」のことである.だから「なおる」とか「まともになる」とは,非論理的な考え方が論理的な考え方に変わることなのである.考え方が変わるとは,心の中の文章記述が変わることである.したがって論理療法は,心の中のイラショナルな文章記述をラショナルな文章記述に変えることになる.
以上のように論理療法の焦点は,問題の受けとめ方,考え方にみられる非論理性の修正,転換におかれる.その意味で感情を行動の源泉であると考えて感情を対象とする方法に対して,もっぱら理性に訴えかける方法である.感情は思考の産物であると考え,思考を変えることによって感情が変わり,ひいては行動も変わると考えるものである.
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