明日への看護をめざして 実践を通して考える・4
看護学のめざすもの・新しい看護論の試み
持永 静代
1
1千葉県立衛生短期大学
pp.258-262
発行日 1984年4月25日
Published Date 1984/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907959
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看護学のめざすもの
科学主義と実存主義
看護職の人から‘あなたの専門は何ですか’と質問されて‘看護教育です’と答えたところ,‘それは専門ではない’と言われたので,‘看護基礎教育の看護技術です’と言い直したが,‘それでも専門にはならない’と言うのである.そこで‘どのように答えれば専門ということになるのですか’と問い返したところ,‘例えば,感染(細菌)に関してとか,人間関係に関してというのが専門である’と教えられたことがある.
私は,このような考え方には賛同できない.すなわち,看護は生きた人間を対象にするのであるから,方法の一部だけにたけていても,その方法だけを活用する看護実践は,現実の中ではあり得ないのである.生きている人間に働きかけるのであれば,人間関係が円滑に保たれるように働きかけることは当然めことであり,どのような職業でも人間関係を重要に考えている現状からみて,看護の専門分野とは考えられない.人間関係が看護の専門分野と考えるならば,カウンセラーとの違いをどこにおくのだろうか.
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