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看護学生の死および瀕死の患者に対する態度と援助認識・行動傾向の発達的変化
村田 恵子
1
,
波多野 梗子
2
1東海大学医療技術短期大学
2日本女子体育大学
pp.410-417
発行日 1983年7月25日
Published Date 1983/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907841
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はじめに
死は人間にとって避けることのできない最大の危機状況であり,一般的に,人々はこのような死に対して恐怖,嫌悪,拒否的な感情を示す.1,2)このことは将来,看護婦になることを目標として学習している看護学生にとっても例外ではないだろう.しかし,看護婦は瀕死の患者であるからこそ積極的に看護をしていかなくてはならないわけで,こうした患者に対して望ましい援助認識をもち,援助行動がとれなくてはならない.そのために,看護学生は看護教育を通して,看護婦という専門職業人としての新たな価値を身につけていかなくてはならない.すなわちこれは,看護婦の専門職業人としての社会化の過程の一部をなすものと考えることができる.
われわれは,これまでにこうした死および瀕死の患者の看護を題材として,看護学生の職業的社会化の過程をみてきた.そして横断的にみた場合の態度や援助認識・行動傾向の学年別特徴や3),こうした学年差や同一学年内の個人差を規定する要因として,死や瀕死の患者への看護の学習経験や個人の死への不安や一般的な援助意志の影響を見い出した.しかし一方,こうした要因だけで看護婦の職業的社会化を十分説明しつくせないこと4)も明らかとなった.
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