研究
看護学生の終末期患者への援助的認識と看護行動傾向の学年による差異
波多野 梗子
1
,
村田 恵子
2
1日本女子体育大学
2東海大学医療技術短期大学
pp.62-73
発行日 1981年1月15日
Published Date 1981/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200637
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はじめに
看護教育の中心的課題は,看護を専攻した学生がその職業的社会化をどのように促進するかにある。そのためには看護学校に入学した学生が,どのような過程を経て,看護の専門職業的な知識を習得し,態度・行動を自己に内面化していくか,その過程を知ることが必要であろう。
看護婦が習得すべき能力にはさまざまあるが,その中で学生の認識的・情意的側面がどのように発達過程をたどるかといった職業的社会化については,既に人格特性や価値観,健康認識,一般社会の人々が恐怖,嫌悪,拒否を示すような人間に心理的危機感を生じさせる特定な状況,あるいは対象――死,老い,精神病,アルコール中毒など――に対する態度,看護および看護婦に対する認識,職業観や専門職業的意識,看護場面に対する認識や行動傾向といった面についての検討がなされている。この中で,心理的危機感を生じさせる特定な状況,特に「死」や「終末期の患者」に関しては,アメリカにおいて,死への恐怖や不安,死および終末期にある人に対する態度について,看護学生の死への不安の特徴や,死の経験や教育による態度の変容を扱った研究がいくつかみられる1)-5)。しかし,わが国におけるこの種の研究はほとんどなく7),また,アメリカにおいても,死に直面した患者や家族をどのように受けとめ,どのように援助するかについての発達過程に注目した研究はみられない。
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