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看護教育における患者の死に関する研究
遠矢 福子
1
1福井県立短期大学看護学科
pp.506-511
発行日 1982年8月25日
Published Date 1982/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907708
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はじめに
看護学生が総体的に〈死〉をどのように考えているのかについて,遠矢が行った看護学生の死に対する意識調査結果1)からみると,〈死〉に対しては関心が強く,また感情的に抵抗が強いことがわかり,概念として‘生と死を考える機会’になるが,‘未知の存在’として実感に乏しく,感情的な‘恐ろしい’‘嫌な’などの反応が多く,態度としては‘避けたいが援助しなければならない,などの表現が多くみられた.看護体験の少ない短大生の場合,臨死患者の看護は‘できるだけ避けたい’‘嫌であるが援助しなければならない’という,この問の心理的葛藤は非常に大きいと思われる.
このギャップを少なくするために,看護教育の中で学生に患者の死とその看護について,その意味をよく理解させ価値を知り,感情をコントロールしながら,〈死〉を抵抗なく受け入れられる態度に変容できるような援助がなされるようにするために,看護学生が客体としての自己をどうとらえているのかを知る目的で,看護学生の自己認知形成過程を調査することにした.
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