研究と報告
安楽死に関する一研究
山下 タケ子
1
1富山市立看護専門学校
pp.187-196
発行日 1982年2月1日
Published Date 1982/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919473
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はじめに
医療技術の進歩に伴って,以前には期待できなかった長期の延命が可能となった.その反面,苦痛を伴った生命と,安らかなより短い生命とどちらを選ぶかの問題が新たに起きている.安楽死の問題は古くからあったが,1975年のカレン事件によって全世界の関心を集めるようになった.
1976年には,第4回世界医事法会議が開催され,トピックスとして‘生命の始まり’‘生命の終わり’がとり上げられている.同年には東京で安楽死国際会議が開催され,日本安楽死協会も参加している.その後‘末期医療の特別措置法案’が安楽死協会から発表されると,武谷三男氏等が発起人となる‘安楽死法制化を阻止する会’の発足があり,安楽死問題は日本でも注目を集めるようになった.本格的な安楽死立法としては英国の任意安楽死立法が1936年ころにあるが,一般的な法律問題としてはかなり古くからあったと思われる.
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