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第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
アポトーシスと非アポトーシス細胞死
細胞死研究の歴史
-――いかにして細胞死がホットトピックになったか
History of cell death research
猪原 直弘
1
Naohiro INOHARA
1
1ミシガン大学医学部病理学部門
キーワード:
計画細胞死
,
アポトーシス
,
パイロトーシス
,
ネクローシス
,
ネクロプトーシス
Keyword:
計画細胞死
,
アポトーシス
,
パイロトーシス
,
ネクローシス
,
ネクロプトーシス
pp.312-316
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305312
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細胞死にはいくつかのタイプがあり,不慮の死とは別に制御,計画された死が存在する.炎症を最小限にする死であるアポトーシスとその調節機構の発見をきっかけに研究が発展し,細胞死のタイプはアポトーシスに加えネクローシス,パイロトーシス,ネクロプトーシス,フェロトーシスなどに再分類された.各種の細胞死に特徴的な形態変化はその死の生理的な役割を強く反映している.細胞死の詳細な生理的役割とそのための調節機構の原理は,がんをはじめとする各種疾患の治療,診断,予防に広く活用されるところとなった.各タイプの細胞死には横断的に共通の分子生物学的特徴がある一方で,それぞれユニークなメカニズムも有している.各タイプとも進化的に保存されている点もある一方,その生物種の生態系における生存戦略に合致した多様性も持っている.細胞死の研究史における読者諸氏の考察は今後の同研究分野のさらなる発展と応用におおいに貢献する可能性がある.本稿では無機質な年表表記や研究者の氏名列記を避けながら,細胞死研究の歴史を概説する.
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