教育人間学の探求・3
教育内容の変貌と学びの喪失
伊藤 順康
1
1東京理科大学
pp.184-188
発行日 1982年3月25日
Published Date 1982/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907661
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前回では,本当の学びとはどうあるべきものなのか,それが現在ではどのように曲げられているかについて考えた.われわれの学びについての概念を再考し,今後の考察の出発点にしようということであった.当然,次には,どうしてこういう事態になってしまったのか,その原因はどこにあるのか,これらの点の分析からすすんで,本当の学びを復興させるにはどうすればよいのかを考えていかねばならない.
ところで,現状を学びの喪失状況の深刻な広がりととらえる筆者は,その深刻さの1つの象徴を‘生と知性の乖離(かいり)’のうちに見ている.例えば生徒を主体的な学習活動に引き出すには,興味・関心をもたせることと,その学習の必要性を自覚させることであるが,前者だけに頼れば少数の生徒しかついてこず,後者については,単位や受験のためという,いわば次元の低い必要性しか理解していない場合も多い.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.