視座
疾患の変貌について
佐藤 孝三
1
1日本大学医学部整形外科学教室
pp.259
発行日 1972年4月25日
Published Date 1972/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904669
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整形外科医にとつてきわめて重要な疾患であつたポリオは,予防ワクチンの完成によつてほとんど消滅した.国民病といわれた結核も激減して,近年は脊椎カリエスや結核性関節炎をみることがずつと少なくなつた.予防医学の進歩が国民の福祉に大きく貢献し,臨床医師であるわれわれの治療面での負担がいちじるしく軽減された例である.
抗生物質や化学療法の進歩は,感染性疾患の死亡率を激減させ,その病像と経過を大きく変化させた反面,むずかしい耐性菌の問題を提起するにいたつた.ステロイド剤は素晴らしい効果をあらわすが,常用すれば副作用がつよく,整形外科的にはオステオポロージスや無腐性骨壊死をひきおこす.
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