教育学入門講座 教育・学習のしくみとはたらき・9
教育内容について
森部 英生
1
1群馬大学
pp.262-268
発行日 1986年3月25日
Published Date 1986/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908226
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教育目的と教育内容
■教育原理
大学で教員免許状を取得するのに必要な教職専門科目の1つに,‘教育原理’がある.教師になろうとする者は,自分の担当する教科についてはもとよりのこと,教育の歴史や思想や制度などについても,ある程度の知見を備えていなくてはならないというのが,これを必修科目とした趣旨であろう.同時に,教育学部で開講されているおびただしい数の授業のうち,‘教育原理’は最も無味乾燥なものでもある.私が学生時代に受講したときも退屈だったし,今も学生諸君の評判は芳しくなく,あちこちの大学でもそういう声が聞かれるから,‘教育原理’のつまらなさは,時代を越えた全国的な傾向のようである.
教育原理がおもしろくないのは,内容が多すぎて断片的であるなど,種々の理由が考えられるが,これを担当する教官の側にも何がしかの責任があるように思われる.教育学の全領域をともかくも一通りは触れなければならないし,必修科目であるために受講生が多く(初めのうちだけだが),何よりも答案の採点が大変で,教育原理は教官にとって苦痛な講義なのだ.だから次年度の時間割を作成する季節になると,学会の理事にさせられてしまいそうだとか,どうも近ごろ体調が思わしくないとか,女房としっくりいっていないとか,あることないことをあれこれ並べ立てて,何とか逃れようとする.
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