大正看護史・3
病院における看護—その1
渡部 喜美子
1
1都立鷺宮高校
pp.189-194
発行日 1982年3月25日
Published Date 1982/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907662
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西洋の病院は,旅人の宿,客をもてなすなどを意味するラテン語の《hospital》を語源として長い伝統を持っている.そこでシスターたちによる患者を中心としたケアが行われてきた.しかし日本の病院では,患者を収容する施設,すなわち病気の手当てをする養生所として設けられた.それゆえに病院で看護が女性たちの手によっていつごろ始められたのかは,明らかでない.
古くは南蛮医学が渡来し,ルイス・デ・アルメーダが病院を建てた時なのか.また江戸時代に小石川養生所にも女性たちが働いていたが,それすらもはっきりしていない.長崎養生所は,日本近代西洋医学最初の病院といわれるが,ぞこには女性の姿が見られない.歴史的に明らかなのは,明治元年,東京帝国大学医科大学付属医院の前身,大学南校の病院で看護婦が公募されたが,そこに登場した杉本かね子らが,日本最初の病院看護婦といえるだろう.
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