いま教育現場では・5
訪問看護/教育学の立場から
岩井 陽子
1
,
鈴木 俊作
2
1旭中央病院付属高等看護学院
2千葉県保育専門学院
pp.588-592
発行日 1977年9月25日
Published Date 1977/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907137
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消えた老人
数か月ほど前,私の家の近くの70歳過ぎの老人が,不自然な姿で散歩しているのを見かけました.きけば中風気味で,口がよくきけなくなり,それでもそれ以外の身体的な障害はなくて,毎日散歩を日課としているとのことでした.ところがそれからしばらく経って,その老人の姿が見られません.どうしたのかと思って母に聞いてみますと,入院したとのことでした.その老人の家の人たちは‘家にいても別にどうということもないのだけれども,病院に入院すれば面倒はないし,それに70歳を過ぎた老人で,医療費もタダであるし……’と言っているとのことでした.
また,入院した患者さんが一定の治療を受けて,かなりの程度,回復したにもかかわらず,家に帰って世話をするのが大変だからとの理由で,もう少し病院において下さいと,主治医に懇願するという話も,しばしば耳にします,更にまた,老人ホームに入れるのは抵抗があるが,病院に入院させておけば,老人を大切にしているように世間も認めてくれるというような実態もあります.
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