目撃と印象・1
わたしの経験的臨床実習指導論
野島 良子
1
1福井県立短期大学看護科
pp.606-611
発行日 1976年10月25日
Published Date 1976/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907030
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見えている眼と見えていない眼
注意深く患者を観察しなさい,というのが,ある場面では看護の教師が学生に与える常套(じょうとう)句的な助言です.もっとよく見てごらんなさい.もう1度,見てきてごらんなさい,と.
しかし,この種の助言は,たいていの場合無意味です.役に立たないのです.何遍繰り返されても,こうした類の助言が与えられるような時には,学生はそれを生かすことはできないし,教師もその助言を与えたことによって,学生の観察する眼がより深まり,より正確さを増したことを確認して喜ぶということはできません.学生と教師の心に残されるのは,ともにいらだちと焦りです.
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