特集 臨地実習指導に問われるもの
「直接的経験」から「反省的経験」へ―ALS患者を受け持った学生の経験を重視した実習指導の検討
安東 由佳子
1
,
大原 良子
2
,
鈴木 正子
3
1広島大学大学院保健学研究科
2自治医科大学看護学部
3東洋英和女学院大学大学院人間科学研究科人間科学専攻
pp.116-121
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100005
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はじめに
近年,看護教育では実習時間の減少や技術習得の困難等により,臨地実習をどのように進めていくかが大きな課題となっている。効果的な実習教育は様々に試みられているが,いまだにその方法論は模索段階にある1~5)。
そのような中で近年注目されているのは,「経験型実習教育」である。経験型実習教育について安酸6, 7)は,「学生の経験を大切にし,学生の経験の意味づけを教師と学生との共同作業で展開していく実習教育」「教員は学生に『直接的経験』を与えうる学習環境を設定し,『反省的経験』の過程が促進されうるような学習の場をデザインし援助していく」ものだと述べている。
よって効果的な実習教育を展開するために,教員には,学生の経験を「直接的経験」から「反省的経験」へと促す援助が求められる。そこで本研究では,学生は実習の中でどのような経験をしているのか,教員はどのような援助をしているかを事例を通して検討し,学生の経験が「直接的経験」から「反省的経験」へと移行するとはどのようなことなのか,また移行を促す教員の援助について考える。
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