私の発言
看護教育はこれでよいのか—施設内教育の悩み
池野 栄子
1
1諏訪赤十字看護専門学校教務部
pp.601-605
発行日 1976年10月25日
Published Date 1976/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907029
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はじめに
人間というのは自分の立たされる立場によって,物の見方・考え方がずい分変化してくるものだということを,身をもって感じている昨今である.
12年近い臨床経験の中で感じてきた,看護学校とそのあり方に対する私の多少批判めいた考え方が,いかに浅はかで,自分勝手なものであったか,教務室勤務となって,今初めて理解できたような気がする.その経験も,まだ3年目だというのに,今度はその矛先を逆に臨床に向けている自分を発見し,自分がいかに現在の立たされている立場を擁護しながら生きているものであるか,と苦笑せずにはいられない.と同時に看護学校勤務となって身近に学生と接し,直接的にその反応を様々な形で感じ取っている毎日の中で,看護教育そのもののあり方を深く考えずにはいられない.ことあるごとに‘これでよいのか’‘自分はこれで満足なのか’と常に自問自答し,身近にいる教師とも,‘なんとかしなくては,これでは......’と考えこんでいる毎日である.そこで今日は自分の日ごろの不勉強さを棚に上げ,思い切って日ごろのあれこれを書いてみたいと思う.早い話が泣き事のようなものである.
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