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今般,臨床検査学に新しいカリキュラムが導入され教育目標が明確に示されるようになった.その結果,臨床検査技師になるためのモチベーションが高まり,学習意欲の向上が期待される.また,最近の大学,専門学校においてセメスター制度注)が導入され始め,より集中的にかつ効果的に必須科目が履修できるようになったことも学習意欲向上の一因ではないだろうか.
学内における学生教育では,基礎的および専門的分野に力が注がれるのは当然のことではあるが,最近特に四年制大学において学外の専門教育,すなわち学外臨地実習(病院実習)の重要性が指摘されている.2001年に国立大学医学部保健学科に臨床(臨地)教授制度が導入され始め,看護学,放射線技術,検査技術科学の三部門に門戸が開かれた.従来は,医師・歯科医師だけの臨床教授制度であり,医学生の卒前教育の場,あるいは臨床教育の場として位置付けされていたのがコメディカルの教育実習,研修にまで広げられるようになった.その結果,学外の指導者においては学生に対してより親近感と責任感が生まれ充実した指導が行える下地ができたのではないかと思っている.また人間性豊かな医療人を育成するために臨床教育の充実を図っていくのが大学教育の使命であるが,その一環として学外の医療現場での指導が大きな意味を持つのではないかと考えている.筆者の勤務する国立循環器病センター検査部に,夏休みを利用して大阪大学保健学科の学生8名が2班に分かれそれぞれ1週間の臨地実習に来る.1週間という短期間では見学研修が主体となりがちであるが,そこは少しでも臨床現場での生の実習を体験していただくことを心がけている.また将来,臨床検査技師としての基本的な実践技術を少しでも学ぶことと,また患者に対する適切な対応を知っていただくことを目標としている.
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