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看護高校生徒および看護短大学生における職業観の発達に関する研究—職業観診断テストの結果分析
高橋 章子
1
,
中島 紀恵子
2
1愛知県立看護短期大学
2千葉大学教育部学特別(看護)教員養成課程
pp.509-519
発行日 1974年8月25日
Published Date 1974/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906798
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Ⅰ.問題
職業観の問題は人間形成に関して中心的な問題の一つであり,これがどの様に形成されてゆくかを発達的に明らかにしてゆくことは教育の問題として重要なことである.なぜなら,職業観の形成には次の様な問題が含まれている.すなわち,職業観の基礎には,第1に職業に関する知識があり,その増大が職業観を変容させ,定着固定化してゆく過程があるであろう.第2は,人の生き方に関連する価値観や,態度の問題があるであろうし,第3には,職業が単なる環境世界の一つの事象ではなく,現実の問題として自己に関与してくる課題がある.
人がそれぞれ独自の歴史を担いつつ,未来の一点を目指して統一された目的志向の体制をとるものとして考えるならば,職業はその目的の実現の途上において,あるいは目的そのものとして解決を迫られる課題である.特に看護学生のように,今現実に特定の職業と結びつくコースに入ってしまった集団における学生の職業観の形成定着に関しては,教育環境そのものが,職業観に直接的な影響を与えるであろう.したがって教育する側は,これがいかに形成されゆくかを,断片的でなく発達的に明らかにしてゆく必要がある.これがわれわれの問題意識である.
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