研究と報告
病院医師に関する研究(2)—病院医師の生家の家業継承の問題と医師の職業観について
車田 松三郎
1
1東北大学病院管理学教室
pp.101-105
発行日 1971年3月1日
Published Date 1971/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204275
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1)病院の勤務医師の生家が医業を営んでいる割合は22.1%であった.これは10年前の調査とほぼ同割合であり,ほとんど差がないことがわかった.もちろんこの関係は,病院種別や経営主体別,規模別,世代別にそれぞれ多少の差がみられた.
2)次に生家が医業を営んでいる場合,それを継承するかどうかは,それぞれの事情があってすべてが,肯定するわけではない.実際は30.2%は‘継承する’と答えている.しかし,‘継承する’場合も,病院種別により差がみられるし,経営主体別によっても異なる.もちろん,規模の大小によっても差がみられる.世代別には若い層ほど‘継承したい’としている.これは,親の期待と自分の仕事に対する希望を,このようなところに託しているからではなかろうか.
3)医師は自分の職業について,開業医の全盛期とは異なり,勤務医であることから,‘医師も今日では一種の知的労働者である’としているものの割合が圧倒的に高くなっている.‘自由職業’という考え方は,だんだんかげをひそめてくるようである.医師は大企業なみの労働者として,いわゆる専門的技術労働者としての位置づけが,より近代的形態をとりながら,意識を変えてきているようである.このことは看護婦の場合は実に明瞭であつた5).
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