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成人看護の実際—看護実習をいかに学ぶか
池川 清子
1
,
浅田 庚子
2
1前:奈良文化女子短期大学衛生看護学科
2奈良文化女子短期大学衛生看護学科
pp.86-97
発行日 1974年2月25日
Published Date 1974/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906746
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はじめに
1年半にわたる成人看護学との悪戦苦闘が終わり,いよいよその理論が,看護であり得るかを身をもって実践する時に至った.一種の気負いさえ感じられる学生の興奮状態もさることながら,我我教師側の期待と不安も一通りのものではなかった.開学以来日の浅い本学初めての看護実習の時を迎えたのである,我々教師の不安の根源は,自分自身の講義が,はたして看護の本質に基づいたものであったかどうか,受ける側の学生が,現実の臨床場面で,看護固有のものを見極める能力を身につけることが,はたして可能であったかということであった.その不安は日を追って強いものとなり,急きょ,講義と実習の橋渡しをする意味の実習入門講義と銘うって,看護学総論・成人・母性・小児の各論の補講を行い,看護とは,看護とはを繰り返した一幕もあった.
このような粗末な経験不足の実習について,あえてまとめてみようと試みた理由は,我々教師間において,長年の経験にのみ甘んじて,何らの意図的方向づけのない実習は無意味であるという意見の一致を見たからである.すなわち,看護実習は,何が看護であるかという看護概念の明確な認識に基づいて,学生が患者との真剣なかかわりあいを通して,その患者の様々な健康のレベルに対応する看護活動が何であるかを体得することを基本目的とするという見解である.
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