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成人看護の基本的概念—成人保健の立場から
池川 清子
1
1奈良文化女子短期大学衛生看護学科
pp.80-89
発行日 1973年2月25日
Published Date 1973/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906652
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Ⅰ・はじめに
看護学の体系づけという点において,新カリキュラムの果たした役割りは,高く評価されるべきだと考える.だが,今日なお,教育現場においては,体系化された理論の外枠ができた段階であって,重要な中身に至っては,理論的根拠となる看護概念の明確化すら困難な現状である.特に成人看護学の分野では,全カリキュラムに占める範囲の広さから見ても,展開にあたって,多くの困難な問題が提起されている.すなわち,全体の骨組み,盛り込む内容,分担配分,そして全体を1つの体系に結びつけていく理論枠の構築などがそれである.
成人看護学は臨床部門の基本となる疾患看護の大部分を包含しているため,看護婦以外の教官(おもに医師)に依存している部分も多い.このために各教科が,終局的に帰っていく,看護概念の統一がなければ,看護学という名の医学であったり,疾病中心の看護になる可能性が大きく,学生側の看護学への統合を著しく妨げる結果ともなる.看護学が,すべて看護婦によって教授なし得ない現状において,看護教師相互間はもとより,実践学習である臨床,臨地の実習場や,担当医師間での,成人看護の基本的概念の共通理解が重要である.
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