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はじめに
精神疾患は、がん・糖尿病などと並び国民に広く関わる重点的な疾患として5大疾患に位置づけられています。令和5年度障害者白書1)では、障害者の概数は身体障害者436万人、知的障害者109万4千人、精神障害者614万8千人と、年々増加しています。
精神保健医療福祉の動向として、「地域生活中心」という理念が基軸とされました。精神障害者の一層の地域移行を進めるための地域づくりという観点から、精神障害者が地域の一員として、安心して自分らしい暮らしができるよう、医療、障害福祉・介護、社会参加、住まい、地域の助け合い、教育が包括的に確保された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を目指すことが新たな理念として明確になりました。精神科病院では退院支援、地域生活支援に向けての取り組みが強化されています。2021年3月に取りまとめられた精神保健医療福祉施策の取り組み状況では、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会」2)において、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築には、障害者などの日常生活圏域を基本として市町村などの基礎自治体を基盤に進める必要がある、と報告されています。
看護基礎教育においては、2017年に発表された看護学教育モデル・コア・カリキュラム3)で、臨地実習のねらいと学修目標が明示されました。精神看護領域の看護実践(心のケアが必要な人々への看護実践)として、精神疾患を持つ人の入院中から退院支援までの回復の段階に応じた看護を理解し、指導の下に実践できること、精神疾患を持つ人の地域生活支援について、関係者と協働する必要性と方法を説明できることなどが学修目標に挙げられています。その達成に向けて、地域にある社会福祉施設や就労支援施設での実習を組み入れている学校が増えています。
今回、精神看護学実習での社会福祉施設実習、病院実習でのセルフケアモデルを用いた看護展開、プロセスレコードによる自己理解・他者理解に関する取り組みに加え、精神科看護の魅力を学生に伝えていくための臨床実習指導者との連携についても紹介します。
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