教育の眼
点数本位の教育
佐藤 忠男
pp.342-346
発行日 1973年5月25日
Published Date 1973/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906678
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現代の学校教育で,いちばんまずい問題点のひとつは,教科の内容が,試験で点数を計ることの可能な部分だけが異常に肥大し,逆に点数をつけることの困難な部分は見捨ててかえりみられなくなっている,ということであると思う.
たとえば語学である.学校の語学教育では発音や会話は重要視されていない.実際問題として,発音や会話を正確に教えようとすると教師は,そのコトバを母国語とする人でなければ無理であり,日本じゅうの学校で外国人の教師を雇うことは無理だから,おのずから発音や会話には重点をおかないようになった,という理由もある.しかし,それ以外に,発音や会話は厳密な意味では試験で採点をすることが非常にむずかしい,という理由もあったのではないか.
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