シリーズ ポストコロナ社会を考える—変わるもの,変わらないもの
コロナ禍で顕在化する「自己本位」な関係性
鈴木 謙介
1
Kensuke Suzuki
1
1関西学院大学社会学部
pp.48-49
発行日 2021年1月15日
Published Date 2021/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202371
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リモートワークがもたらす「自由さ」
新型コロナウイルスの感染拡大が社会に与えた影響は,私たちの社会生活に大きな影を落としている.そうした中でも比較的ポジティブに受け止められているのが,リモートワークの導入だ.リモートワークには,従業員のワークライフバランスや業務全体の効率化等のメリットがあるとされており,コロナ禍がもたらした数少ない「よい方向への変化」と見なされている.
まず現状を確認してみよう.日経ウーマノミクス・プロジェクトによると,同会員を対象にした調査では74.8%が,コロナ禍収束後も在宅勤務を継続したいと回答したという.海外の事例では,欧州で行われたOkta社の調査において,英国の回答者のうち,週5日のオフィス勤務に戻りたいと回答したのは4人に1人に過ぎず,また完全なリモートワークを希望したのは17%であり,理想的なシナリオは,パートタイムベースで在宅勤務が可能な,柔軟なモデルだったと報じられている.
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