看護学校経営・4
看護学校の組織・運営
吉本 二郎
1
1東京教育大学
pp.261-267
発行日 1973年4月25日
Published Date 1973/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906669
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.学校の組織・運営に自を向けよう
看護教育はどうあるべきか,どのような看護が望ましいのか,という教育そのものに関する論議がはなやかになされる一方で,看護職に当たる者の労働条件や,看護の本質に迫る専門職理論も,きわめて熱心に展開されている.それに伴って,教育制度自体が非常に多くの関心を集めている.ところが,その具体的活動としての看護者養成の学校(養成所を含めていうことにする)の組織や運営問題は,なぜかほとんど問題にされていない傾向があるのではないだろうか.
学校がどれほどの要件を備え,またそれをどのように生かすことによって,望ましい教育が可能になるのかという,学校の内面的経営問題を無視して,なにか制度的改革をすれば,すぐにも看護界がすばらしい世界に変身するような感覚に包まれてはいないか.それは言いすぎとしても,たとえば准看制度をどう処理するのか,保・助・看一本化をどうして実現するか,雑多な看護の職務内容をどう整理すればよいかなど,基本的な看護制度の問題点が,とめどなく広がりをもって論及されているのが実情であろう.看護制度そのものの概念規定すら,用いる人ごとに異なったものとなっていよう.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.