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はじめに
2010(平成22)年4月,厚生労働省より専任教員養成講習会及び教務主任養成講習会ガイドラインが提示された。それに則り,福岡県では新たに教務主任養成講習会(専任教員養成講習会はすでに43年来の歴史をもっている)が開催されることになった。講習会開催に至った経緯は,本誌52巻10号(2011年10月号)で紹介されているため,ここでは省略する。
教務主任養成講習会の教育目的は,「看護学教育における教育課程の管理能力および教員に対する指導力を養い,学校運営を推進する能力を啓発する」と明示されている。さらには,ガイドラインに示されている教育課程の構造(図1)のなかに位置づけられている,学校運営の推進力を養うための内容として,「看護学校経営」と「看護学校経営演習」が組まれている。そこには,「学校経営の理論を基礎に看護学校経営の在り方を考察し,教育実践への適用能力を高めるために設定した」とある。
このたび,看護学校経営の講師を担当するにあたり,「講義内容は学校管理ではなく学校経営ですからよろしくお願いします」という言葉は,今でも心に刺さるものがある。講義準備を進めていくうちに,学校経営を一般企業にたとえて考えてみたり,病院経営と対比させてみたりしたもののしっくりいかない。今,看護学校においては,私も含め看護職の学校長や副学校長が経営者ではないという現実があるからである。
それでも,看護学校の運営責任者として委嘱された学校長は,“経営者”であるとの自覚をもちながら,その「志」を実現するために,教務部長はじめ教員や事務職などに指導性を発揮しなければならない。
そのためにはどのような知識や技術が必要か,学校運営に欠かせない経営的視点とは何か,自分の役割を遂行するための能力とは何かなどを,私の今までのキャリア(看護管理,学校管理,看護行政での経験など)を活かし,表のように看護学校管理・運営のポイントを12に整理したので,本連載で紹介する。
第1回である今回は,学校の運営方針を明確にするステップ(図2)について考えてみたい。
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