日本看護協会看護教育問題研究会分担研究報告・9
看護学校の組織と運営(1)—445校の実態調査から
岩内 亮一
1
,
陣内 靖彦
2
1北里大学
2東京学芸大学
pp.277-291
発行日 1975年5月25日
Published Date 1975/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906884
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I.調査の目的と内容
1.調査の目的
看護教育に関する問題は,多くの立場から議論されている.看護職の専門性を確立するための教育内容の充実,学校教育法第1条校への認可昇格を指向するための準備,既に大学・短大に昇格した事例の検討など,問題とする側面の違い,および立脚点の差異によって議論の内容と方向も当然異なる.観点の違いに応じて多様な議論がなされているが,その多くは,看護婦不足,看護労働の激しさ,医療組織における看護職の位置づけなどとの関連で扱われている.
ところが,看護学校それ自体を直接の問題にした議論は比較的少ないようである.現実の看護学校に鋭いメスを加えて,問題の全ぼうを明らかにする研究は皆無に等しい.考えてみると,看護教育に関する問題を扱う場合,現に存在し機能している看護学校の実態を明らかにし,その中から看護教育,看護行政,医療組織,看護職の性格などの間に内在する諸関連を追究する必要がある.このような基礎的な問題追究を省略するならば,看護教育問題は,他の学校との格差や貧弱な教育基盤の指摘を重ねるか,もしくは制度上の確立を目指した主張を繰り返すかのいずれかに陥る.いずれの場合も,議論は不毛となる恐れがある.
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