綜説
血液銀行の組織と運営
東 陽一
1,2
1日本赤十字社東京血液銀行
2日本赤十字社中央病院
pp.273-282
発行日 1953年6月20日
Published Date 1953/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201240
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I.血液銀行の必要な理由
血液銀行の必要性は,それを味わつて見て始めて解る.麦飯を食べていても,充分栄養はとれる筈ではあるが,一度白米を口にしたものは,その味は忘れ難く,再び麦飯を口にすることを望まないのと同じことが,新鮮血輸血と血液銀行による保存血輸血についても云い得るのである。即ち一度血液銀行の味を知つたものは,爾後今迄の新鮮血輸血を試みようとしない.吾々の日赤中央病院においては昭和26年春以来血液銀行による保存血輸血を試み出していたが,最近ある事情のため,一時その補給に不足を生じ,再び以前の新鮮血輸血に還らねばならなくなつたことがある.そして例の輸血協会から職業給血者を呼び集めたが,同型の者を必要量だけ集める苦心(折角来たものゝうちHb量の満足なものが少い)や,惡性疾患傳染の不安などで,医局からは保存血の補給の懇望や催促が矢のようであつた.日赤中央病院ではもう血液銀行なしでは到底やつて行けないことがはつきり解つた.
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