教育の眼
問題をつくる力
佐藤 忠男
pp.201-205
発行日 1973年3月25日
Published Date 1973/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906664
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アメリカのある大学で,いまおもしろい試みが行なわれているようである。それは,大学へ行かなくても,それだけの学問をしたと認められる人には卒業資格を与えようとするもので,具体的にどういうふうにやるのか知らないが,通信教育のように教える側から一方的に教材を送りつけて勉強しろというのでなく,学ぼうとする者が独自のテーマを選んで独自にやれるらしい.また,学ぶ者は,必要に応じて大学から学習上のさまざまな援助を得られるらしい.
確かに,学問というものは,なにも学校へ行かなければやれないというものではない.ある種の学問は独学で十分やれるし,また,学校で教える学問だけが学問であるということもない.学校で教えないような種類の学問を1人で学んだような者が,ただ,学校へ行っていないというだけで,学問がないとみなされるのは奇妙なことである.
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