看護学校経営・1
看護学校経営へのアプローチ
吉本 二郎
1
1東京教育大学
pp.48-54
発行日 1973年1月25日
Published Date 1973/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906648
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問題意識
看護というしごとが,きわめて専門的な知識と技術に基づいて行なわれていることは,おそらく,だれの目にも明らかであろう.まして,1度でも重症で入院したり,あるいは手厚い保健婦の指導を受けたりしたことのある人にとっては,看護のもつ重要な意義は身にしみて感じとるに違いない.それにもかかわらず,看護行為の独自的な意義は,なお十分に認識されているとはいえないし,その社会的承認もきわめて不十分なままである.これはいったい,どうしてなのであろうか.
患者の診断,投薬や手術の治療行為と並んで,看護は患者の健康回復に欠かせない要因となっている.だからこそ,看護と直接の医療行為は車の両輪にたとえられもする.実際に治療行為だけが行なわれ,看護による人間的配慮が伴わないならば,医療技術全体にどれほどゆがみを招来するか,測り知れないものがあろう.それなのに,同じく患者を対象としながら,医師と看護婦の間には著しい社会的評価の差異が見られる.医師は弁護士や科学者などとともに,代表的な専門職とされ,看護婦は社会的評価の高いアメリカの場合ですら,小学校教員と並んで,たかだか半専門職に過ぎないと見られている.
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