Japanese
English
特集 肢体不自由児教育
普通学校への就学アプローチ―長崎における現状
The Approach for Putting Handicapped Children to Normal School.
穐山 富太郎
1
,
川口 幸義
1
,
岡本 義久
1
,
朝永 正剛
1
,
平光 八郎
1
Tomitaro Akiyama
1
,
Yukiyoshi Kawaguchi
1
,
Yoshihisa Okamoto
1
,
Seigō Tomonaga
1
,
Hachirō Hiramitsu
1
1長崎県立整肢療育園
1Nagasaki Crippled Children's Hospital.
キーワード:
発達障害児
,
就学アプローチ
,
地域リハ
Keyword:
発達障害児
,
就学アプローチ
,
地域リハ
pp.499-505
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104749
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
発達障害児の療育(リハビリテーション)にたずさわってすでに十数年がたった.初めの頃は運動機能障害や行動異常に目を奪われ,個々の機能改善にのみ努力をはらい,全人的発達促進を欠いていたことを反省する昨今である.ことに,精神機能の発達促進をおろそかにし,一般社会での社会的自立を目標にした療育としては甘いアブローチであった.その結果,われわれが肢体不自由児施設を中心にして治療にあたってきた重度障害の多くが地域学校への就学を果たしえず,養護学校修了後もコロニー,福祉施設などで施設生活を余儀なくしているか,自宅にあっても積極的な社会参加を果たしえていないのが現状である.
そもそも養護学校制度は,あらゆる発達障害児に対し専門的な特殊教育を施こし,地域社会へ送り出すことを目標として全人的療育をモットーにスタートしたものであったが,その制度確立の過程にあって,健常者の便宜主義が働き隔離化と委託化が推進されたものと思う.その結果,本来社会的活動をなしうる潜在的能力を有する児すら障害児と化している.
われわれは,どのような障害児であれ,地域社会での生活の場を獲得させることを療育の究極の目的としており,このような観点にたった,地域リハビリテーション推進の一環として,発達障害児をできるかぎり地域の学校へ就学させることを推進してきた.以下,生活環境の重要性と発達障害児の就学アプローチについて述べる.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.