教育学入門講座 教育・学習のしくみとはたらき・6
学校の経営と管理について
森部 英生
1
1群馬大学
pp.786-792
発行日 1985年12月25日
Published Date 1985/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908177
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学校の経営
■ヒエラルキー
学校教育は,ミクロに見れば,ひとりの教師とひとりの子どもとの人間的な触れ合いであるが,マクロに見れば,その学校の教師集団と子ども集団との問の相互関係である.そこで学校教育にあっては,各教師の個性や資質のあり方とともに,教師集団としてのまとまりが問題とならざるをえなくなる.この,教師の個人的な人柄や事情を考慮に入れながら,なお学校が全体として統一のとれた教育機関として子どもたちの教育にあたっていくための,学校内部の組織や運営に関する一連のプロセスが,学校経営にほかならない.そしてこの問題は,単に狭い意味での学校にとどまらず,看護学校や農業大学校やコンピュータ専門学校など,組織的な教育機関にあっては,いずれも不可欠のものである.
1960年代の半ばごろ,‘学校重層構造論’と‘学校単層構造論’とが論争の火花を散らしたことがある.前者によると,学校経営は国・都道府県・市町村・学校という四重の構造を持ち,それぞれが学校経営の主体であるが,各学校自体もまた経営層(校長)・管理層(教頭・主任)・作業層(各教師)という重層構造を持って,上方・下方問の円環交通によって運営される,という1).
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