特別報告
看護学生の教育に対する満足を規定する諸要因
大越 美代子
1
,
加藤 チエ子
1
,
坂井 恵子
1
,
後藤 房子
1
,
杉山 勝代
1
,
長森 敏美
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.56-64
発行日 1970年6月25日
Published Date 1970/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906347
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I.はじめに
社会の要求に応じた,よりよい看護婦を養成するために,またいっぽうでは,看護専門職の確立をめざして,看護教育の問題がクローズアップされてきている。
その渦中にあって,われわれ看護学生は,現在の看護教育に対して少なからぬ関心を抱いている。学生間のディスカッションにおいても看護教育は,しばしば取り上げられる議題であり,その多くは不満を感じての発言である。しかし,その不満が何に由来するものであるかは,正確に把握されておらず,ほとんど漠然とした不満であるが,かなり強いものと思われる。看護学生の現在受けている看護教育に対する満足,不満足については,これまでにいくつかの研究が報告されている。たとえば,昭和37年に国立公衆衛生院において,全国看護婦学校養成所24校の学生694名について,学科,実習,学科と実習の関連についての内容を含む46項目からなる質問紙により,不満の程度が,各項目ごとに5段階法により調査されている。そして,この結果は,項目ごとの満足度の低い群,やや高い群,高い群に分けて分析がなされている。また,最近の研究としては,看護学生の臨床実習に対する意欲調査があり,ここでは,意欲が学校別,卒業後の進路別に異なることが示されている。さらに,アメリカ合衆国の研究として,看護学校の総体的経験に対する満足,あるいは不満足と,学校での経験に対する反応との間の相関についての研究などもある。
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