調査報告
保健婦学校養成所の教育についての卒業生の意見
木下 安子
1
1東京大学医学部保健学科
pp.47-55
発行日 1970年6月25日
Published Date 1970/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906346
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緒論
近年,社会的経済的な諸条件の急激な変動によって,住民の公衆衛生活動への関心も高まり,公衆衛生活動の向上,発展が強く期待されてきている。それにともない公衆衛生技術者の必要数や,備えるべき技術水準,資質等についての検討がせまられていることが指摘されている1)2)。公衆衛生看護サービスについても,保健婦の質的,量的養成の強化,充実を図る必要のあることが論じられている3)4)。すでに公衆衛生教育制度調査委員会(いわゆる野辺地委員会)は公衆衛生従事者全般の教育訓練についての検討の一環として,保健婦の教育訓練の基本方針,体系,内容および方法,需給,処遇などについての報告5)をおこなっている。
また医療制度調査会の答申にしめされた保健婦,助産婦,看護婦の身分制度の総合,教育の一元化の方向での検討6)7)や,現状の保健婦養成教育についての問題の提起,あるいは保健婦養成教育の内容の改善への努力などが行なわれはじめている8)〜10)が,総合的,組識的な調査研究はまだ数少ない3)。現状分析にたった具体的な問題提起が活発に行なわれる必要があろう。しかも42年11月の保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則改正により43年度から新カリキュラムによる看護婦教育が実施され,数年を経ずして保健婦学校のカリキュラム改正がおこなわれることになる11)。したがって緊急を要することといえよう。
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