看護学校のあゆみ 日赤女子短期大学・3
戦時救護時代=日露戦役・欧州大戦
海川 はるよ
1
,
国分 アイ
1
,
涌井 治子
1
1日赤女子短大
pp.53-58
発行日 1965年5月1日
Published Date 1965/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905459
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戦時における傷病者の看護に加え,災害時の救護看護婦養成を目的として発足した赤十字社看護婦は,日清戦争に直面し始めて戦時救護にあたったが,第2次世界大戦に及んで,数多くの救護看護婦を戦時救護のために出動させた日本赤十字社も,当初においては女性であるために危惧の念を抱かれ,軍当局からなかなか許可を得ることができなかったということである。この間の消息については,前号の石黒子爵懐旧談の中で詳しく知ることができると思う。石黒子爵は,看護婦の教育に多くの情熱を傾け,晩年はあたかも赤十字看護婦にとり慈父の如き存在であったという。氏は後年私費を投じ,看護婦奨励のために大正7年「ナイチンゲール石黒記念牌」を制定し,赤十字看護婦の中で特に優れている者に対しこれを贈った。「後世看護婦歴史ヲ書クモノガアッタナラ,此ニ離ルベカラザル石黒忠悳ノ名ハ必ラズ書イテ呉レルデアラウト篤ク自信スルノデアル云々」と記録されているが,戦時救護開始について,またその功に対する叙勲について氏の功績は大きいし,戦前に養成された赤十字看護婦にとって氏は偉大なる恩人であるとともに,尊敬と信頼のまとであったのである。
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