教育の歴史・5
新しい教育観(ルネッサンス)と普通義務教育の制度化(宗教改革)
高倉 翔
1
1大阪学芸大学
pp.45-48
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905353
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西欧中世社会は,十字軍の末ごろから時代の特質に転換がおこりつつあった。すなわち,一方では封鎖的封建制度がくずれはじめるとともに,都市を中心に自由な経済活動が活発になり,自由都市には新しい市民のための学校が発達した。もう一方では,自由都市の発達した地方で,封建社会や教会の束縛から人間を解放して,自由な精神活動を実現しようとする風潮が高まり,教育も教会の独占から脱しつつあった。以上は,「教育の歴史〈3〉」で述べてきたところである。
このような風潮はやがてルネッサンスとなって西欧諸国に拡大し,またローマ教会の権威に対する反抗となって宗教改革を導きだしていった。ルネッサンス,宗教改革は,中世社会を近世社会へと転換させる精神界の革新であり,教育に対しても,強い影響を及ぼした。
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