出血との闘い・局所止血法の歴史・4
ルネッサンス時代より18世紀まで
安藤 博
1
1東京慈恵会医科大学第3分院外科
pp.1373-1375
発行日 1985年10月20日
Published Date 1985/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209148
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中世に失われていたという人間性を復活させ,古代ギリシヤ・ローマの文化を再現しようとした14世紀から16世紀にかけてのヨーロッパに於る思想と運動は,ルネッサンス(文芸復興)と呼ばれている.
この時代に成熟した文芸と美術が,解剖学の進歩を促すようになり,レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci,1452〜1519),ミケランジェロ(Michelangelo Buonarroti,1475〜1564),ラファエロ(Raffaello Sanzio,1483〜1520)らの優れた芸術家による人体の構造の観察とデッサンにより,ガレノス以来の解剖学は打破されるようになる.1543年に人体解剖学(De humani corposis fabbrica)を発表したベザリウス(Andreas Vesa—lius,1514〜1564)が有名である.ベザリウスはパドウアの解剖学者であり,また外科学教授でもあり,腫瘤摘出の際に血管の結紮を行つていたといわれている.
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