青年心理学講座・6
青年は論理的である
辰見 敏夫
1
1東京学芸大学
pp.49-52
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905354
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1.青年と親との間
先月号でみてきたように,青年が自分たちで考え,作りあげている規則とか制限というものは,親のそれとはかなり違っている。したがって,親が勝手に一方的に青年にその規則とか制限をおしつければ,青年は憤慨反抗し,あるいは偽りをもってあざむくということになるし,逆に,青年たちの生活の規準とか標準というものは,親からみれば危険きわまりないものであるし,型破りなものにみえる。ところで青年たちは,それをそうだと認めはしないけれど,実際には,自分たちよりも年長者で,経験も豊かな人が,じっと自分たちのやることをみつめていて,あとで悔いを残さないように,誤りを訂正してくれる人がいるということを幸せに思っているのである。
だから,自分の子どものいうことに耳を傾け,そのいろいろな事態についてそのあり方を正確に受けとってやるということが,親と子の間の空気をきれいなものにするし,親が心配をしてただ頭の中にでっちあげているよりも,もっと確実な青年の線をつくりあげることができる。だから,親と子との話し合いが必要だというのである。このことは,上長者と青年も同じ関係であるということを考えていただければ,青年の扱い方ということにもっと理解のある態度がとれると思う。
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