特集 現代の看護学生
実態調査にあらわれた看護学生
意欲と現実のジレンマに悩む学生
深谷 和子
1
1東京教育大学教育相談研究所
pp.14-15
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905315
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看護学生は学生なのだろうか—調査報告書「看護学生」を読んで,私はこんな疑問をいだいた。
ここ数年,学校形式を採用する訓練所がめだって増加している。チャーミング・スクール,洋裁学校,学習塾,成人学校から,社立学校,職業訓練所……である。しかし,一口に学校形式をとるといっても,チャーミング・スクールと社立学校とでは,学校の性格も生徒の地位も全くちがっている。前者の場合,学校はサービス機関であり,生徒はそれを利用するお客である。いってみれば,学校存続の鍵を握っているのが生徒であり,生徒の好みにしたがって学校が運営される。そして,知識や技能を習得すれば,生徒は二度と学校を訪れようともしない。これに反して,社立学校では,教師も生徒も同じ集団に属している。ただ,教師はその社会の先輩であり,生徒は新入りである。そして,生徒が一日も早く集団の一人前の成員となれるよう,教師は能率的に生徒をリードしていく。最近の傾向として,この種の学校では,知識や技能の伝達だけでなく,集団帰属意識などのモラールの高揚にも力が注がれはじめている。そのために,教育内容を学校側から一方的におしつけない,生徒の自主的な活動を認める,設備を充実させて生徒に誇りを持たせる,などの方策がとられている。そして,一見まわり道に思えるこの方法が,社立学校の教育水準向上へきわめて有効な手段となるといわれている。
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