書評
医療の場でジレンマに悩むすべての人へ
中尾 久子
1
1九州大学大学院医学研究院保健学部門
pp.155
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100302
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本書は,「正解がないよね」「合意は難しいのでは?」と思われがちな,倫理的問題でジレンマに悩んでいる方々に向けて,対話による合意形成の可能性を伝える1冊である。事例を読むと,自分がその場の関係者であるかのように状況がリアルに伝わってきて,事例の分析やアプローチを読み進めるうちに著者への共感が湧いてくる。
著者は,助産師,保健師,看護師の資格をもって病院や地域で活動するなかで,自己決定が必要な場面で意思表示できなかった/できた患者とその家族,医療従事者と関わってきた。これらの体験を通して医療の場から視野を広げつつ,大学院博士課程で社会的合意形成について学びながらこの課題に正面から取り組み,「合意の原則」を提案されている。私はそのことに非常に興味を抱いた。
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