特集 人物評価のポイント
よい点をつねに見いだすこと—私の学生評価
上田 寿子
1
1松山赤十字高等看護学院
pp.19-22
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905255
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■はじめに
人造りムードが家庭造りへと発展し,家庭教育がいろいろと議論されている。人格形成の過程において家庭での両親の愛情や育て方,学校,近隣社会における人間関係などが影響しているといわれている。学生をみれば教師を想像できるとか,私の地方の私立大学の学生が,総選挙の投票日に友人から集めた投票所の入場券をもって,選挙事務所を売り歩いた事件があった。当の大学の先生が,「教師の責任だとばかり責められてはあまりにみじめですね。社会の一面を敏感に感じとっているとも考えたいです」といわれた言葉は他人事ではないように思った。評価しようとするとき,判断者の人格がどんなものであるか明瞭に把握していることが必要であることは,集まってくる実習評価をみるたびに感じる。学生を評価するとき,自分自身の人格がどれほど学生に影響を与えているだろうかと考えていると不安におそわれる。
R. ウルフ,H. A. マアレーは,「判断者は他の判断者を採点する際,自分によく似た判断者を上手に採点し,自分と似たところの少ない判断者の採点は下手である」といわれているが,これがすべてとは思えないがうなずけるものがある。
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