連載 薬理学―見方をかえたら・3
生体のあいまいさについて
堀 誠治
1
1東京慈恵会医科大学薬理学講座第1
pp.567
発行日 1998年7月25日
Published Date 1998/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903810
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生体が厳密に薬物の構造を認識していることは,既に述べた.今回は,生体の持つ“あいまいさ”について述べることとする.もっとも,“あいまいさ”というよりは,厳密に薬物を識別しているはずの生体の“間違え”と言った方がよいかも知れないが.
薬物の有害作用を考える際に,その薬物の有する主作用から推測可能なものと,主作用からは推測しにくいものとに大きく分けることができよう.有害作用のうち,主作用の延長線上にあるものは,何らかの理由でその薬物が体内に蓄積した際に出現しやすくなると考えられ,その種類・発現は推測可能である.これは,薬物と生体の反応との間に間違いが生じているわけではない.
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